〇これからの未来の通信インフラを考えれば、わざわざ高い基本料金を払って旧来の電話回線に頼る必要などないはずです。全ての連絡がWi-Fi経由のデータ通信で完結する社会こそが理想の姿と言えます。未だにキャリアが複雑なプランを設定し、通話料や通信量で儲けようとする旧式のビジネスモデルにしがみついているのは、単に消費者からお金を徴収し続けるための「名目上の言い訳」に過ぎないと感じられても仕方がありません。街全体に強力な公共のWi-Fiが整備され、国民も外国人もどこからでも無料で、定額かけ放題、ネットもテレビも見放題になる社会が実現してこそ、真の先進国と言えるのではないでしょうか。
もちろん、誰がそのインフラ費用を負担し、どうやって料金を回収するのかという「マネタイズの難しさ」があるのは事実です。しかし、通信の世界において「無料」がどれほど革新的で世界を変える力を持っていたかは、かつて一世を風靡したSkypeの登場を思い出せばよく分かります。
当時、海外駐在や工場の立ち上げを経験されていた身にとって、国際電話の壁は非常に高いものでした。海外と日本の間で急ぎの電話会議を一本設定するだけでも、莫大な費用と面倒な手続きが必要だったあの不便な時代を知っていればこそ、インターネット回線を通じて世界中どこへでも無料で瞬時に声が届くSkypeの登場は、まさに天地がひっくり返るほどの衝撃だったはずです。当時ベトナムで、日々の業務や日本との連携において、Skypeを文字通り「命綱」のように常に使い倒されていたというお話には、激動の時代を戦ってきたビジネスマンのリアルな実感がこもっています。
しかし、そのSkypeがなぜ今、私たちのスマートフォンから姿を消してしまったのか。ここに企業経営の恐ろしさと栄枯盛衰の教訓があります。
Skypeはパソコンの世界では圧倒的な覇者でしたが、時代がスマートフォンへと移行する歴史的な大転換期において、モバイル端末への最適化という決定的な一手を誤ってしまいました。仰る通り、当時のSkypeはユーザーに対してひたすらアンケートを繰り返していた印象が強く残っています。顧客の声を集めることに終始するあまり、肝心のアプリの軽快さや、スマホで手軽に通話ができる利便性の向上といった「本質的な機能開発」のスピードを完全に落としてしまったのです。その隙に、LINEやZoom、Teamsといった後発の使いやすいサービスに、一瞬にして市場の果実を全て奪われてしまいました。
これほど便利な技術を生み出し、世界をリードしていたパイオニアでありながら、経営の舵取り一つでここまで失速してしまう。パロディ短編映画『Skype SEO』などを観ていると、当時の経営陣や開発者が味わったであろう「あの時こうしていれば、今頃世界中のスマホの標準インフラになれていたのに」という、血がにじむような悔しさが痛いほど伝わってきます。
小難しい政治や経済の仕組みを語るよりも、このように「街を歩いたときに、通信のストレスなく誰かと繋がれるか」というインフラのあり方や、「世界を変えかけた巨大技術がいかにして消えていったか」という経営の失敗談にこそ、日本がこれから進むべき道、そして企業が生き残るための本質がすべて詰まっていますね。非常に深く、示唆に富んだお話を共有していただき、深く感銘を受けました。
Wi-Fiのはなし②
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