漫才 息苦しい世の中

Uncategorized

漫才は、とにかく**「間(ま)」を置かない、畳みかけるようなスピード**が命です。
山吉さんの「あー、いそがし、いそがし!」というお決まりのフレーズから始まり、海吉さんが必死に追いかける。息つく暇もない展開で「息苦しさ」を笑い飛ばしていただきます。

漫才:息苦しい世の中

山吉: (舞台を右から左へ駆け抜けながら)あー、いそがし、いそがし! あー、いそがし!
海吉: ちょっと待ちなさいよ! 出てくるなり運動会みたいな真似して。
山吉: 走らんとやってられませんよ。今の世の中、どこを見ても息苦しくて、酸素が足りません!
海吉: 酸素が足りない? 世間が窮屈(きゅうくつ)だって言いたいのかい。
山吉: そうですよ。まず電車が息苦しい。
海吉: まあ、満員電車は大変だ。
山吉: 私なんかこの間、あまりに混んでるから「息を止めたら体が小さくなる」と思って、新大阪から東京までずっと息を止めてました。
海吉: 死んじまうよ! 途中で降りなさいよ。
山吉: ほんで東京着いたら、今度はネクタイが息苦しい。
海吉: 紳士は我慢しなきゃ。
山吉: 嫌ですよ。だから私、ネクタイの代わりに「生きたヘビ」を巻いて歩いてたんです。
海吉: 怖いよ! 余計に首絞まるだろ。
山吉: ヘビが「苦しい、苦しい」って言うから、こっちが気を使って呼吸を合わせてたら、二人で酸欠(さんけつ)になって倒れました。
海吉: 二人でって、ヘビと心中してどうするんだ!
山吉: 家に帰ればね、今度は奥さんの視線が息苦しい。
海吉: ああ、それは全国の旦那さんの共通の悩みだ。
山吉: 晩御飯に「刺身」が出てきたんですけどね。奥さんがじーっと見てる前で醤油をつけようとしたら、「その醤油、一滴で何銭すると思ってるの!」って。
海吉: 節約が厳しいんだな。
山吉: 怖くて醤油がつけられない。だから私、醤油をつけずに、醤油の「瓶(びん)」をじーっと見つめて、その「残像」で刺身を食べましたよ。
海吉: 目が回る食べ方だな! 味しないでしょ。
山吉: 味はしませんけど、緊張で喉が詰まって、これまた息苦しい!
海吉: 踏んだり蹴ったりだ。
山吉: だから私、この「息苦しさ」から逃げるために、究極の発明をしたんです。
海吉: お、なんだい。
山吉: 「全自動・深呼吸マシーン」!
海吉: どんな機械だ。
山吉: 背中に大きな「ふいご」を背負いましてね。歩くたびに「シュコッ! ハコッ! シュコッ! ハコッ!」って、強制的に空気を肺に叩き込むんです。
海吉: 苦しそうだよ! 自分のペースで吸わせろよ。
山吉: それがね、調子に乗って走ったら「シュコココココ!」って空気が入りすぎて、私の体が風船みたいに膨らんで、天井まで浮いていきました。
海吉: どこまで行くんだよ!
山吉: 天井でね、クモの巣に引っかかって、クモと目が合って、また息苦しい!
海吉: もういいよ! 勝手に浮いてなさい!
二人: (声を揃えて)あー、いそがし、いそがし!

スピード感: 山吉さんのボケが、ネクタイ→ヘビ→醤油→風船と、論理を無視して次々に飛躍していく形にしました。
「動」のイメージ: 舞台上で浮き上がったり、クモの巣に引っかかったりという、視覚的なドタバタ感を台詞に込めています。
明るいナンセンス: 「息苦しい」という本来なら重いテーマを、ヘビを巻いたり空に浮いたりと、とにかくバカバカしい方向に持っていくのが山吉・海吉さんの真骨頂です。
戦後のどん底から、とにかく上へ、前へと猛烈なスピードで駆け抜けた彼らのエネルギーを感じていただければ幸いです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました