(タバコの話しの続きだが…)今から3年くらい前の事。病院に行った。実家の近くにあるこじんまりとした胃腸器科医院。院長さんはサックスが趣味で町内のボランティアでよく演奏会をしている。人口が2万人前後の過疎の田舎。そんな自然豊かな農村の医院、老人たちに占領され昼間は憩いの場になっている。持病に耐える日々の苦労話、孫の進学を報告(ついでに自慢する)、近所の噂話…「あれま、そうなんけ?」…そんな話で時間がゆっくり過ぎていく空間になっている。
数日後に仕事で中国駐在を控えているため、必須の健康診断をその医院に受診に行った。妙な性病に犯されていないかどうか…証明しなければならない。エイズでも患っていようものなら当然行くことができない。
海外駐在するためにはいろいろ面倒な手続きが必要で、無犯罪証明も提示しなければならない。
警察に行って両手の指紋をとって前科者かどうかを証明しなければならない。私は海外で働くことが出来るから、犯罪は起こしたことがない。しかし、シートベルトをしていなかったり、踏切の一時停止が短くて切符を切られたことがあったが、交通違反はあるが、前科がのこるようなことはしていない、綺麗な身体である。
一通り診察を終えて問診の時に、X線写真を眺めながら医者にこう言われた。
「タバコ吸っていますね」と医者に言われた。
禁煙して10年が経っていた。禁煙には苦労したので、心外だった。
「もう、十年前に止めていますが…」
「そうですが、肺の輪郭に影が残っています」
そういう訳だ。喫煙は20年以上吸っていた。二十歳に止めようと思っていたが、ズルズルと吸っていた。
恐らく、このレントゲンに残る肺の影は一生残るだろう。禁煙して10年もすれば綺麗な肺になることを期待していた、寂しい気持ちになるが致し方ない。
完璧な肺を求めてもしょうがない。現在は以前よりも十分に満喫できる。今の方がずっと若い。



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