「皆さんは、あの甘酸っぱくて、あるいは汗臭かった『高校時代』を覚えているでしょうか。
今宵、パステルカラーの妄想に生きる男と、極寒の野生を生き抜いた男が、思い出の青春をかけてステージの上で激突します。
少女漫画のようなロマンチックな世界に引きこもり、ボケ倒す『のぶ』。
そして、その甘っちょろい幻想を、伝統の『網走魂』と鋭すぎるツッコミで叩き潰す『ひで』。
一見、どこか素朴で無害そうな二人に見えるかもしれません。しかしマイクの前に立った瞬間、皆さんのハートを掴んで離さない至高のテンポを叩き出します。
本日のネタは……『男子校』。
イチゴのクレープを半分こする夢のような放課後から、裸足に下駄で大雪山を這いずる地獄の耐久訓練まで。このあまりにも激しすぎる青春のコントラストに、皆さんは笑わずにいられるでしょうか。
──それではお呼びいたしましょう。
のぶ&ひでのお二人です、どうぞ!」
(ここでテンポの速い、おなじみの陽気でアップテンポな出囃子が鳴り響き、のぶが大きく手を振りながら、ひでがいつものようにネクタイを少し緩めるようにして、勢いよくセンターマイクの前へと躍り出てくる……)
ここから、のぶの「最近暖かくなってきてねー」というトボけた語り口から始まる最高の掛け合いが幕を開けます!
男子校(網走義塾)vs 軟派な共学

のぶ:どうもー、のぶ&ひでです!お願いします。いやー、最近暖かくなってきてね、ふと思い出すんですよ。
ひで:何をだよ。
のぶ:高校時代の、あのキラキラした放課後を。
ひで:あー、青春か。まあ、誰にでもあるよな。
のぶ:授業が終わったら、彼女と校門で待ち合わせてね。「今日はどこのカフェ行く?」なんて言いながら、イチゴいっぱいのクレープを半分こしたりして。
ひで:うるせえよ!何がクレープだよ!甘っちょろいんだよお前は!
のぶ:え、普通でしょ? 青春って、パステルカラーのカーディガン着て、放課後に屋上で愛を叫ぶもんでしょ?
ひで:どんなドラマだよ!俺の高校時代はな、そんなパステルなんて一色もねえんだよ!俺がいたのは、北海道でも有名な硬派中の硬派、「網走義塾」の男子校だ!
のぶ:網走義塾? …え、それって、卒業式にシャバに出られるの?
ひで:刑務所じゃねえよ!立派な伝統校だよ!「質実剛健」が校訓なんだよ。
のぶ:質実剛健? …新しいプロテインの名前?
ひで:精神だよ!飾り気がなくて、真面目で、強くてたくましいってことだ!俺たちの制服なんてお前、ボロボロの学ランに下駄だぞ。
のぶ:下駄! 鬼太郎か!
ひで:バンカラだよ! 毎日、雪が降る中でも裸足で下駄履いて登校するんだ。廊下を歩けば「カランコロン」って地獄の音が響くんだよ。
のぶ:怖いよ! 俺の学校なんて、指定のカーディガンが7色から選べたよ。今日は気分がいいから「スカイブルー」にしようかな、とか。
ひで:欧米か! 軟弱なんだよ! 俺たちの学校はな、部活動がすべてなんだ。どんなスポーツでも道内で決勝まで上り詰める。負けることは死を意味するんだよ。
のぶ:部活かー。俺もやってたよ。
ひで:ほう、何部だよ。網走の「冬の海・遠泳部」並みの根性あるのか?
のぶ:……「男女混合・アロマテラピー部」。
ひで:欧米か! なんだその部活! 何と戦うんだよ!
のぶ:戦わないよ。放課後、女子部員と「今日はラベンダーの気分だね」って言いながら、お互いのこめかみにオイルを塗り合うんだ。
ひで:気持ち悪いんだよ! 男子校の部活はそんなんじゃねえ! 夏休みなんてお前、練習が厳しすぎて、部員全員の頭から湯気が立って、体育館がサウナ状態になるんだ。
のぶ:えー、不潔。
ひで:魂の汗だよ! 水なんて飲ませてもらえないからな。喉が渇いたら、みんなで校庭に並んで雨が降るのを祈るんだよ。
のぶ:雨乞い部じゃねえか! 俺のところは、練習中にマネージャーの女の子が「はい、ハチミツレモン作ったよ(ハート)」って持ってきてくれるんだ。
ひで:なんだその夢のような世界は! 男子校にマネージャーなんていねえんだよ! 顧問のヒゲ面のオヤジが「気合入れろ!」って竹刀振り回してるだけなんだ。唯一の癒やしは、校庭に迷い込んできた野良犬だけだぞ。
のぶ:その犬に「マネージャー」って名前つけて可愛がってたんでしょ?
ひで:切なすぎるだろ! 網走高校のやつらはな、女子を見ることすら稀なんだ。三年間、女性と口をきくのは、食堂の「おふくろさん」と呼ばれる、推定年齢80歳の老婆だけだ。
のぶ:おふくろさん。
ひで:そのおふくろさんが作る、岩のように硬いおにぎりを食って、俺たちは決勝戦へ向かうんだ。対戦相手もみんな坊主頭で、どっちがどっちの選手か分かんねえくらい殺気立ってるんだよ。
のぶ:俺の学校の試合は、観客席から「のぶくん、頑張ってー!」って、女子の黄色い声援が飛ぶんだよ。俺、それで張り切りすぎて、シュート決めたあとにウィンクしちゃうもんね。
ひで:欧米か! 網走でウィンクなんてしてみろ。相手チームから「あいつ、目にゴミが入ったのか? 救急車呼んでやれ!」って大騒ぎになるわ。
のぶ:優しいな、網走の人。
ひで:優しさじゃねえよ!「弱いやつはすぐ排除する」っていう合理的な考えだよ!
のぶ:でもさ、そんなに硬派だと、修学旅行とかどうすんの? 俺なんて、夜に女子の部屋に忍び込んで、バレそうになってクローゼットに隠れるっていう、王道のイベントこなしたよ。
ひで:そんなもんねえよ! 俺たちの修学旅行はな、大雪山での「寒冷地耐久訓練」だ。
のぶ:訓練じゃねえか。
ひで:夜中に教官が笛を吹いたら、全員で極寒の川に飛び込むんだ。そこで校歌を十番まで斉唱する。泡吹いて倒れるやつもいるけど、残ったやつらで肩を組んで、「俺たちは生きてるぞー!」って叫ぶんだ。これが最高の思い出だよ。
のぶ:……それ、楽しいの?
ひで:楽しいとかじゃねえんだよ!「生」を実感するんだよ! お前みたいに、女子とフォークダンスして「手が触れちゃった、ドキドキ」なんてやってるやつには一生分からねえ!
のぶ:フォークダンス? 古いねー。今は放課後、二人乗りして海まで行って、夕日に向かって「結婚しよう!」って叫ぶんだよ。
ひで:欧米か! 高校生が結婚すんな! 網走高校はな、卒業式の日にやっと自由が手に入る。でも、みんな男子校の絆が強すぎて、泣きながらお互いの学ランのボタンをちぎり合うんだ。
のぶ:え、女子にあげるんじゃなくて?
ひで:女子がいねえって言ってんだろ!「このボタンはお前との友情の証だ!」って言って、血眼になって奪い合うんだ。卒業式終わる頃には、全員前が全開の「露出狂」集団だよ。
のぶ:うわあ……絶対、網走高校に行かなくてよかった。
ひで:失礼だな! 網走の魂をなめるな!
のぶ:俺、やっぱり、明日からパステルカラーの網走高校目指すわ。
ひで:ねえよそんな学校! もういいよ!
二人:どうも、ありがとうございました!


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