寒に入りてより、日の光も心なしか痩せ細り、万物はその生彩を失いゆくかに見ゆ。朝な夕な、窓辺に立ちて外を眺むれば、庭には昨夜来の雪が薄く積もり、すべてを鉛色に塗り潰したる如し。かの常磐木も、今はただ黒き塊として佇み、その枝々に残れる雪は、さながら凍てついた涙珠の如く、今にも零れ落ちんとして止まる。
遠くの山々は、朧なる霞の奥にその姿を隠し、輪郭のみをぼんやりと示せり。それさえも、やがては深く降り積む雪に覆われ、この世の果てまでも白く塗り込められんとするかの如し。空気は凛として澄み渡り、肺腑に吸い込めば、かの冷気が五臓六腑を洗い清める心地。されど、それはまた、心深きところに潜める憂いを呼び覚ますものにも似たり。
折しも、一羽の烏が、黒き翼を広げて空を横切る。その鳴き声は、冴え渡る冬の空に吸い込まれゆくも、微かな響きを残して、一層の寂寥感を招く。人の世の営みも、この厳しき冬の景色の中に埋もれ、すべてが静止せるかの如し。我らは、この自然の摂理の前に、ただ小さき存在として立ち尽くすのみか。
しかし、その鉛色の世界の中にも、微かな生の息吹は隠されていよう。やがて来るべき春を夢見て、地中深くで眠る種子のように、この寒さの底には、新たな生命の萌芽が息づいていることを信じるばかりなり。この冬景色は、我々に静かに思索を促し、そしてまた、来るべき季節への希望を抱かせるものと知るべし。


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