「どーもー! 中山家でございますー!」
「いやぁ、強さん。今年も来ましたね、成人式」
「来ましたねぇ。もう、風物詩というか、ニュースの定点観測というか」
誠二:特にね、福岡と沖縄。ここらの成人式はもう、式典やないんです。「合戦」なんです。
強:合戦って(笑)。みんなお祝いしに行くんやろ?
誠二:いや、お祝いという名の「自己主張のぶつけ合い」ですよ。まず福岡な。北九州あたり。
強:あぁ、派手な袴の。
誠二:派手どころやない! あれはもう、歌舞伎の連獅子が暴走族に入ったみたいな格好やから。
強:ガハハハ!
誠二:(マイクを握りしめ、肩をいからせて)「おいコラァ! ○○中、集合かかってんぞコラァ!!」
強:ガラ悪いなぁ、もう。
誠二:見てください、あの袴の刺繍。「天上天下唯我独尊」って書いてある。今の二十歳、そんな四字熟語、学校のテストで一回も書いてへんはずやのに、袴にはバシッと入っとる。
強:気合いやね。
誠二:ほんで、あのリーゼントな。重力に逆らいすぎて、首の筋肉の限界に挑戦しとる。前が見えてへんから、顎をグッと上げて歩くんや。
強:……(顎を突き出して、目を見開いて歩く真似)
誠二:そうそう! それや! 「おい、誰にガン飛ばしとんねん」言うてるけど、お前が上向きすぎてるだけやろ、っていう。
誠二:で、対する沖縄な。こっちはね、また種類が違うんですよ。
強:沖縄も派手やね。
誠二:沖縄はね、もう「オープンカーの過積載」ですよ。
強:車やん。
誠二:ほんで、必ずおるんが、巨大な旗持ってる奴な。「○○字(あざ)」って地名が書いてある旗。それをぶんぶん振り回して。
強:風圧すごいど。
誠二:そう。風圧で車がちょっと浮いとんねん。で、警察官が「はいはい、止まってー、危ないよー」って誘導すんねんけど、成人側は「ヒヤサッサ!」って警察官も巻き込んで踊ろうとするからね。
強:警察も大変やな。
誠二:結局ね、彼ら何がしたいか言うたら、「一生に一度、この瞬間にだけは主役になりたい」っていう、その一念だけなんです。
強:まあ、若さゆえ、というか。
誠二:でもね、冷静に見てください。あのイキり倒してる袴の兄ちゃん、式典終わったらどうするか知ってます?
強:どうすんの。
誠二:地元のイオンに集まって、フードコートで「スガキヤ」のラーメン食うてんねん。
強:ギャップがすごいな!
誠二:あの仰々しい袴の袖を、スープに浸からんように一生懸命まくり上げてな。必死で麺すすっとんねん。さっきまでの「天下統一」みたいな顔はどこ行ったんや、と。
強:かわいいとこあるやん。
誠二:テレビのインタビューとか受ける時もね、お約束があるんですよ。
強:あぁ、マイク向けられてな。
誠二:
(テレビレポーターの真似)「二十歳の抱負をお願いします!」
(イキリ新成人の真似)「えー、とりあえずぅ、親に感謝っすね。マジで。あと、この街、俺らが変えていくんで。夜露死苦!!」
強:……で、中身は何もない。
誠二:何もない! 「この街を変える」言うて、具体的にどうすんねんて聞いたら、「とりあえず、ゴミ拾いっすかね……」って、急にええ子になりよる。
強:掃除やん(笑)。
「もう、ええわ!」
「どうも、ありがとうございましたー!」


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