「皆様、お待たせいたしました! 続いてのご登場は、現代の鬱憤を笑いに変える、ボヤキ漫才の真骨頂!『節郎・節子』のお二人です!
今日の節郎師匠、舞台袖から見るからに不機嫌そうでございます。ターゲットはなんと『ホルムズ海峡』! 国際情勢に言いたい放題の怒号が飛び交います。
果たして本日もあの名台詞は飛び出すのか……!? それでは参りましょう、大きな拍手でお迎えください、『節郎・節子』!」
○漫才:責任者出てこい!〜ホルムズ海峡編(節郎・節子ver.)〜
節郎:(むっつりとした顔で登場、不機嫌そうに客席を見渡す)……。
節子:(明るく)はい、皆さんこんにちは! 今日も元気にお会いしましたね。
節郎:……納得いかん。
節子:あら、また始まった。節郎さん、何がそんなに納得いかないんですか?
節郎:世の中、おかしなことばっかりや。特に最近の国際情勢! イランとアメリカがどうのこうの、ホルムズ海峡が封鎖されるのどうのって。
節子:ああ、ニュースでやってますね。緊迫してますよね。
節郎:緊迫しすぎやねん! 大体な、あの「ホルムズ」っていう名前が気に入らん!
節子:名前!? そこですか?
節郎:そうや。なんや「ホルムズ」って。ちょっと油断したら、わしらみたいな年代は「ホルモン」って言うてまいそうになるやないか。
節子:言いませんよ。あんただけですよ、海図見て網焼き思い浮かべてるのは。
節郎:ええか、あそこは世界の石油の「喉元」って言われとる大事な場所や。そこを封鎖するだの、機雷を撒くだの。そんなことされたら、うちの近所のガソリンスタンドの親父、また値上げの看板書き直さなあかんやないか。あの親父、腰痛持ちなんやぞ!
節子:個人的な同情じゃないですか。
節郎:それだけやない。イランの親分もアメリカの親分もや。テレビで難しい顔して「報復だ」「制裁だ」って。お前ら、いっぺん日本の寄席に来て笑い勉強してこい!
節子:外交を演芸で解決しようとしないでください。
節郎:大体な、ミサイル飛ばすのになんぼかかると思てんねん。一発で家が何軒建つ? あの金を全部、大阪の商店街の福引きの景品に回してみい。世界中が「特賞」で幸せになるわ!
節子:まあ、それはそうですけどね。
節郎:それをなんや。ホルムズ海峡でタンカーが止まったら、日本は電気もガスも止まるんやで。真っ暗な中でこの節子の顔、見れるか? 怖くて夜道も歩けんわ!
節子:失礼なこと言わんといて! 私は非常灯代わりになりますよ。
節郎:やかましいわ! ……とにかくや、こんな物騒な世の中にしたんは誰や。
節子:……。
節郎:(客席の一番後ろをビシッと指差して)責任者、出てこい!!
節子:(慌てて止める)ここにおるわけないでしょ! ホワイトハウスかテヘランに行きなさい。
節郎:行けるか! 飛行機代も値上がりしとるんや!
節子:そんな理由!?
節郎:もう、今の政治家はみんなあかん。ホルムズ海峡が狭いんやったら、ちょっと削って広げたらええねん。
節子:無茶苦茶言わんといて。
節郎:それか、油が通らんのやったら、もうみんな自転車に乗りなさい。私は今日から三輪車や。
節子:あんたが三輪車でホルムズ渡るんかいな。……もう、ええ加減にしなさい!
節郎:……(ボソッと)ホンマ、ガソリン高いねん。
節子:まだ言うてる。どうもありがとうございました!


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