「皆さんは、自分の身体に、どれほどの嘘をついて生きているでしょうか。
今宵、人間の『美への執着』と『膨らみ続ける欲望』を冷徹に解剖するため、二人のこじらせ女子がステージに立ちます。
静かに科学と倫理の歪みを見つめ、メスを入れるように理屈を並べる『みお』。
そして、その高尚な議論を、ただ『男にモテたい』という生々しい業(ごう)で泥水に変えていく『みき』。
企業の『軸(アクシス)』ではございません。あえて最後を濁らせて、この世に意味を持たない五文字の記号を背負いました。
本日のネタは……『豊胸手術』。
可愛い名前に騙されてはいけません。彼女たちがシリコンよりも硬く尖った言葉で、現代の虚栄心を派手にぶち抜きます。
──それではお呼びいたしましょう。
アクシズのお二人です、どうぞ!」
みお:
はい、どうもー。アクシズですー。お願いします。
みき:
ねえ、みおさん。私、最近決めたの。
みお:
何をよ。急に改まって。どうせ「今夜の晩酌のつまみを銀杏にする」とかそんな低レベルな決断でしょ。
みき:
失礼ね。もっとこう、女としての「格」を上げるための決断よ。私……豊胸手術しようと思って。
みお:
……は? 豊胸? アンタが?
みき:
そうよ。やっぱりね、この歳になると重力には勝てないし、そもそも「蓄え」が足りないのよ。パンパンに張った夢と希望を胸に詰め込みたいわけ。
みお:
いやいや、アンタの今のキャラで胸だけバカでかくなってみなさいよ。ただの「エロいお局」から「異次元の肉塊」に進化するだけだよ? 視聴者がついてこれないって。
みき:
いいじゃない、異次元。私、シリコン入れて、もう「みきさん」じゃなくて「ダイナマイト・ミキ」って呼んでもらうから。
みお:
ダサっ! 名前の響きが昭和のキャバレーなのよ。大体さ、豊胸なんて痛いし、高いし、大変なんだよ?
みき:
痛みなんて、今の独身生活の寂しさに比べたら、かすり傷よ。メスを入れる痛みより、合コンで誰にも連絡先を聞かれない心の痛みの方が深いの!
みお:
重いんだよ、話が! でもさ、もしアンタが巨乳になったとして、何がしたいわけ?
みき:
決まってるじゃない。白のタンクトップ一枚で、水撒きよ。
みお:
……古いんだよ。イメージが「11PM」なのよ。
みき:
でね、わざと水を自分にかけて、「あらいやだ、透けちゃう」って言いながら、こう、胸の重みで少し前かがみになるの。そうすると、近所の若い男の子たちが……。
みお:
通報するよ。確実に「不審な中高年がいる」って通報されるよ。
みき:
みおさんだって、考えたことないの? その……「もっとあればな」って。
みお:
……(自分の胸を見下ろして)私? 私はもう、この「絶壁」をアイデンティティにして生きてるから。私は「知性」で勝負してるの。胸に詰めるのはシリコンじゃなくて、漱石の小説と手芸の情熱だけで十分なの。
みき:
何それ、カッコいいと思ってんの? アンタの胸、横から見たらiPadと同じ薄さじゃない。
みお:
いいのよ! スタイリッシュなの! 私は「引き算の美学」なの!
みき:
私は「足し算」どころか「掛け算」でいきたいのよ。パンッパンにして、肩こりとか体験してみたいの。「あー、胸が重くて肩が凝っちゃう~」って、嫌味ったらしく言ってみたいのよ。
みお:
アンタ、ただ自慢したいだけだろ。
みき:
そうよ。あとは、タクシー止める時に、手じゃなくて胸を突き出して止めたい。
みお:
止まんねーよ! 運転手さんが「なんだあの隆起は!」って驚いて急ブレーキ踏むだけだよ。
みき:
いいの。夢があるじゃない。みおさんもやりなさいよ。二人で「爆乳コンビ」として再デビューよ。
みお:
嫌だよ! 私がそんなになったら、今まで編んできた手芸のセーター、全部胸のところで模様が伸びちゃうじゃない!
みき:
いいじゃない、3Dで見応えが出るわよ。
みお:
編み図の計算が狂うのよ! 鹿の子編みが台無しだよ! ……もういいよ。
二人:
ありがとうございました。

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