ふとましい女性

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日本でもベトナムでも、女性のパワーというのは本当に侮れませんな。特にベトナムでは、その存在感が際立っていて、会社の中でも「お局様」が部屋長として君臨し、部署全体を見事に仕切っているという場面に何度も遭遇しました。まさに“兵(つわもの)”という言葉がぴったりの方々です。

そんな中でも、特に印象に残っているのが、私がホーチミン市7区のタントゥアン輸出加工区に駐在していた頃の出来事です。あの工場では、主にプラスチックの成形品を製造しており、印刷やレーザー加工、組み立て、塗装といった工程も請け負うことがあるものの、当時は成形技術の高さを武器に、成形品のみを出荷していました。

出荷前の検品や洗浄、微調整といった繊細な作業は、主に女性工員たちが担当しており、それぞれの作業内容に応じて部屋が分かれていました。部屋の中は、まるで学校の教室のように机が整然と並べられ、工員たちは黙々と作業に打ち込んでいます。部屋長はというと、各工員に部品を手際よく配り、無駄のない動きで作業を進めさせていました。まさに現場の司令塔。彼女たちの采配には、思わず「お見事!」と唸らされることもしばしばです。

私たち日本人スタッフは生産管理を担当しており、各部屋の日報をもとに歩留まりをチェックし、生産効率の改善に取り組んでいました。数字とにらめっこしながら、現場の流れを見直す日々。そんな中、ある日、成形品のバリ取りを行う部屋に足を踏み入れたときのこと。目の前に広がる光景に、思わず目を疑いました。

なんとそこには、応接セット、冷蔵庫、電子レンジまでが完備されていたのです。まるで誰かのリビングルームかと錯覚するほどの充実ぶり。日本であれば、こうした設備はせいぜい食堂にあるもの。作業場の片隅だけど鎮座しているのは、どう考えてもおかしい。いや、規則違反もいいところです。

しかし、そこに立ちはだかるのは、まるでマーベル映画から飛び出してきたかのような、筋骨隆々の女性部屋長。あだ名は「ハルク」。見た目は完全に怪獣クラスですが、性格は意外と普通で、仕事も早くて頼りになる存在。そんな彼女を前にしては、「これはちょっと…」なんて言葉も喉の奥で凍りつき、結局は「まあ、いいか」となってしまうのです。

後から聞いた話によると、その応接セットや家電の数々は、ハルクの旦那さんが持ち込んだものだとか。なんでも、彼は地元のリサイクル業者の社長さんらしく、「そりゃあ、揃うわけだ」と妙に納得してしまいました。運搬もお手の物、というわけですね。

まあ、現場の空気を乱してストライキでも起こされたら、それこそ生産に大打撃。ここは一歩引いて、ハルク様の天下に従うのが得策というものです。ベトナムの現場では、こうした“現地ルール”との付き合い方も、マネジメントの重要なスキルの一つなのかもしれません。

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